- 鎌倉 稲村ガ崎 日本料理 虹
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2018.06.24 Sunday
*画像クリックで虹公式ホームページが開きます
[こちらの記事は古美術商の目線で御案内申し上げます]
虹さんを訪れた際、道具屋の立場として、最も印象的だったのが『朱色』の表現が実に見事であったことがあげられます。
日本を表現するに相応しい色彩が存在し、それは日本古来から伝わる伝統の色ともいえます。
虹さんが選び抜かれた漆器への情熱は料理が盛り付けられた瞬間に発揮されていると申し上げても過言ではございません。
様々な朱塗を用いた料理を目にして参りましたが、特に塗物の扱いと器本来のあるべき姿を導く達人ですね。
しかし、漆器だけにとどまらない器を最大限に活かした表現力は他の料理全てにも通じております。
さりげなく運ばれてくる時代物の器。
食材の盛付は勿論、器と食材の極自然な在り方。
料理の基本「美味しそう」目から入る情報が洗礼されてます。
こちらは伊万里赤絵で幕末から明治期頃の器です。
伊万里を代表する朱色と藍色が見事に食材を讃えております。
運ばれてくる料理全てが漢字の通りに美しく、味も美しい・・・美味しいです。
そして何よりも優しい。
癒しを味で表現したら、きっと虹さんの作る料理から言葉の意味を捉えられることでしょう。
その時季の旬の食材を用いることへの深い拘りと愛情を感じます。
とても繊細な味わいを追求された結果が料理という作品として楽しめます。
鎌倉の海側・稲村ガ崎です。
〒248-0024
神奈川県鎌倉市稲村ガ崎5-30-14
電話 080-6651-8912
予約制
詳細は虹公式ホームページを御覧下さい。
虹のご主人、蕗谷氏は、問答無用で『料理人道』を邁進されておられる方です。
角度を変えますと・・・鎌倉のお坊さんにも見えるかな?
少し言葉を交わせば筋金入りの料理人であることが自然と伝わる基本中の基本に基づいた、『基』の字を背負うような真面目な姿勢が心地よく、失礼を承知で記載させて頂きますが、安心する存在です。
安心・・・穏やかであり常に律している姿勢は才能ですね。
当店を訪れる際は奥様と共に御来店頂いております。
お二方の息の合ったやり取りから生まれる料理なのだな、と感じる方も多いかと思います。
御夫妻に似合う言葉は、心底・・・『優しい』ですね。
穏やかな笑顔の奥には客人を真剣にもてなす心の準備が整っており、日本料理 虹を訪れた方は最高に優しく穏やかな時間と空間に包まれます。
料理へのこだわりは勿論、お人柄が料理から伝わる正真正銘の料理人。
美の才能の理由・・・以下、おまけ情報として読み流して下さい。
店主が密かに感動している虹さんの存在
長い前置きになります。
20代の頃(現在の古美術商を構える前)絵画の売買を行う仕事、所謂、画商勤務をしていた頃に遡ります。
記憶が定かでは無いのですが、長野県に出張をしていた頃だと思います(東山魁夷館へ訪れた時の記憶の為、長野県と断定)
頼まれた美術品の資料を郵送する為に郵便局を訪ねた際、衝撃が走った切手がございました。
小さな世界観ではありましたが、その美しさに魅了され、即座に切手を購入し、当時使用していた革の手帳に挟み常に持ち歩いておりました。
数年間は同じ手帳を使用していた事から、その切手を目にすることは日常となり、いつ見ても新鮮な美しさを感じる切手・・・と云えど、不思議な絵画作品でした。
画面中央に納まる構図を用いており、それでいて迫力と申す程の威圧感は無く、とても控えめであり、静寂であろう一瞬を捉えている見事な作品。
背景の色彩には淡い黄色と紫色がグラデーションがかっており、それが人物の品格と幸せに満ち溢れた生きる時間を感じさせる私の中での名作でした。
(花嫁の背景色を単純に赤や桃色で表現せずに高貴な色とされる黄と紫を用いているところが絶妙な感覚です)
*画像追加2018.10.11
それから十年以上が経過し、手帳こそ持ち歩かなくなりましたが、その切手は引き出しの中に納めてあります。その切手を描いた方の名は「蕗谷虹児」
蕗谷画伯のお孫さんが鎌倉におられる事は耳にしておりました。
あ〜、やはり鎌倉という所は違うな〜・・・と漠然と考えておりました。
実は数回程「その方に会いに行かないか?」と、美容関係者の方々からお声掛け頂いておりました。それでは日時を決めてお邪魔しようかな???と考えていた頃・・・
時々訪れる大変賑やかな女性客の数名の方々からお薦められた料理屋の名前を「虹と書いてこうと読む」と記憶しておりました。
言葉を濁しましたが、賑やかと申すよりも声が大きく、騒がしく(笑)どこにいても、その数名の存在は感知できる程の活き活き(ハツラツ)としたご婦人方であり、きっと、どこの店を訪れても、あの調子でおられるのだろうと想像しておりました(ここは笑える範囲として記載してます^^;)
そして、ご婦人方の来店があった事も忘れた頃に御夫婦が訪ねて来ました。
商売柄、料理人が御来店された場合は咄嗟に把握し、改めて料理人であるか訪ねる事が日課であるので、この時も確か「お料理屋さんですか?」と訪ねたかと思います。
すると、一見、北鎌倉では托鉢にみえるお坊さんのような雰囲気の御主人が「そうです!○○さんの紹介でお邪魔しました」とご挨拶をされた時に、あの賑やか&愉快な方ですね!と返すと笑いがこみ上げてきて「ここでもそうですか〜!」と、紹介者のお名前だけで場が和む、そんな出逢いが虹さんとの初めての会話です。
名刺を頂戴してから、数ヶ月後、飲食店を開業したいと予々奮闘しておられる方と時間を合わせ、虹さんにお邪魔することに致しました。
その前にホームページを拝見させて頂いたのですが、既に、そこで驚きの感動を実は味わっていたのを御本人にはお伝えしておらず、初めて、こちらに表します。
虹さんのホームページの中に、蕗谷虹児画伯の御案内ページが目に止まり、まさか・・・と息を飲むと、長年に渡り、感動を覚える切手を描いた画家のお孫さんである事を知り、実は訪問初日は憧れの作品に会いに行く緊張と楽しみが混合しておりました。(そうは見えない!と絶対言われると思いますが^^;)
閑静な住宅街に佇む日本料理 虹に到着しますと、先日、お会いした時も綺麗な奥さんだな〜と同性ながらに見とれた女将が車を誘導する為に表へ出向いてくれました。
女将美人記事にしますと、アホな男が興味本位で会いに行く現象があってはならないので控えめにしますが、私はその日から、切手の花嫁のイメージが時代こそ合致しませんが、この女将である錯覚をしております。内面から美しいのです。なかなか褒めない私ですが美人の定義を密かに学ばせて欲しいと志願したくなる存在。話し反れました・・・。
住宅街に佇む飲食店は数多くある中でも、虹さんの客人を招き入れる準備はどこか安心するものでした。
緊張は既に吹っ飛んでウキウキな足取りでお邪魔致しました(これを図々しいと称します)
店内には陶芸家の作品が陳列されており、その作品がまた美しく可愛らしい絵柄で、訪れた際には要チェックの器です。用意されたテーブルに着席をすると憧れの蕗谷虹児画伯の肉筆画が飾られており、その作品を贅沢にも料理をいただくテーブルから拝見出来る特等席!
(テーブルのシートにもプリントされてます)
料理に関しましては、それは勿論の腕前であることは訪れた方であればご存知でしょう。料理評論家ではございませんので、一品ずつのご案内は致しませんが、順に運ばれてくる料理には『血だな〜・・・』と、思わず言葉が漏れる程のデザインの才能がアッパレな驚きです。
器を最大限に生かす盛り付けから、繊細な心遣いを感じられ、訪れた季節も室内で楽しめます。
私が訪れた時には、正直者の御主人が、その日の仕入れた食材が求めていたものとは異なる為、内容を変更しますと予約の段階で申し出てくれました。
そんな一言を受けた事もあり、食材に対してと招く客人への配慮が本物であると・・・御本人には言えませんが確信致しております。
贅沢な美味しい空間には芸術が散りばめられており、訪れた際には店に確認をした上で作品集を拝見させて頂いて欲しい、そんな極上の静寂が用意されております。(その静寂な空間を愉快な御婦人に紹介された現実も忘れられませーん)
料理も芸術枠と認識する驚きが用意されております!是非。