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目貫(めぬき)

仕事開始日から皆様には新年の御挨拶を頂戴し有り難く御礼申し上げます。
わざわざ御来店頂きました皆様、御遠方から貴重な贈り物をお送り頂きました皆様、初買いに相応しいものを!とお買い物をされた皆様には深く御礼申し上げます。

贈り物に関しましては全てこちらにて御紹介が出来ず申し訳ございません。
日本全国の特産物を頂戴し身も心も温まる日々です。

さて、早速ですが先日、入荷したものの中より今回は目貫を御案内させて頂きます。
写真 1.JPG
リンゴは長野の御客様より頂戴しました。
大きさの比較にと撮影させて頂きます。


写真 2.JPG
こちらが「目貫」という武具刀装品です。


それぞれ古美術希ホームページにアップ致しましたので御覧下さい。

(奥)武具刀装品片目貫 金象嵌天女図 完売

(手前)武具刀装品片目貫 赤銅魚子地金象嵌桜図 完売

写真 3.JPG
こちらの画像は参考としてアップします(店頭にて販売中/短刀と拵のセット販売品です)

目貫とは刀の柄(手元)部分に装着する飾りを指します。

柄部分に穴がありますが、こちらに「目釘」を刺して刃の固定がされます。
『釘を刺す』の意味合いは刀剣用語から用いられており、釘を刺す(目釘を刺す)事により刃が固定され動かなくなります。
これにより、二進も三進も行かない事を「釘を刺す」と表現しており現代でも使用される言葉として残っております。

又、今回は『目貫』の御案内ですので、目貫から用いられた言葉もございますので最後に記載したいと思います。

その前に目貫の御説明ですが、先ほど申し上げました目釘を覆う飾りの役割を果たしているのが『目貫』です。

こちらは時代により装飾のバリエーションも増え、鍔と同じくして刀剣の拵を装う重要な役割を果たすようになります。

よく刀剣の商談中に「こんなに細かい所にまで象嵌がされている」とか「買ってから気がついたけど目貫の魚子地が凄い」等のお話をされるのですが、刀剣を収集されるにあたり拵も揃いで現存する物は大変運が良く、手入れの行き渡ったものが殆どで、代々受け継がれてきた方々の拘りや物を見る眼の素晴らしさを感じる事になります。

目貫にも色々ございますが、今回は赤銅(しゃくどう)地に金象嵌(きんぞうがん)が施された高度な技術の詰まったものを御案内させて頂いております。

片方しか現存しておりませんので、一つずつの販売となります。

天女が二人、空(くう)を舞う姿は衣が風を受けヒラヒラと舞う姿を表現しており、本来は硬い素材である赤銅を軽量物かのように彫り、立体として浮き上がらせております。

お顔の表情は非常に豊かな微笑みを浮かべており、当時の侍は何を考え、何を想い、この目貫を発注したのか?そんな空想に浸ります。

もう一つの方は日本を代表する桜がモチーフの目貫です。
よく御覧下さい。
三つの桜にはそれぞれ魚子地で陰影を保ち桜の形をより一層際立たせる技法が施されております。
三つの桜全てを金象嵌に仕上げていない所が粋であり、中央の一輪が『桜』である事を主張し品良くまとまったものとなっております。
柄の部分で一輪の桜が輝くように考え抜かれたのでしょう。

更に、先ほどから専門用語として記載しております『魚子地』ですが、読み方は(ななこじ)となります。

針先程の点を赤銅の表明に打ち、表情を生み出す技法です。
こちらは武具だけに留まらず、寺院や神社、神輿、等のあらゆる所で見かける古来から伝わる技法です。

見落としがちな細部にまで気の遠くなるような技が施されているので、見る側は圧倒されるのですが、今後は圧倒された後に細部にまで目を行き渡らせて頂けましたら『何が凄いのか』が、個々人に伝わるかと思い記載させて頂いております。

平面でありながらも立体とする日本の技術は世界からも注目されております。

日本に生まれながら当たり前のように存在するものにこそ、現代にまで継承され現存した理由が秘められております。

少し、言葉が大げさかな?と思いながらも本日は目貫の御案内をさせて頂きました。

最後に目貫から伝わる日本語を一つ御紹介致します。

『目貫通り』

人が賑わう繁華街の中でも最も人が多いメイン通りを目貫通りと表現される方も多いはずです。
こちらは目抜きと表現される方もおりますが、古美術商として目貫通りと記載致します(どちらとも意味は同じ)

上記にも記載致しましたが、目貫は刀の拵でいう柄部分(手に持つ所)を飾る金具で重要な役割を果たします。
刀剣を御覧になられると柄に輝く小さな美術品が目貫となりますが、最も目に付く部分に装着されますので、これを見た先代方が言葉遊びも含めて繁華街を目貫通りと表したのでしょう。

ここ鎌倉でいうと小町通りを思い浮かべますか?
私は個人的には大船の目貫通りを思い出します。

人が目にする時に華やかな気分にさせる目貫。

この技術と類い稀な小さな古美術品には数多くの人々が魅了され受け継がれてきました。

もっと詳しい時代背景を記載したい所ですが、まずは目貫の存在を御承知頂き、益々、刀剣に御興味が注がれる事を切に願いまして本日は、これにて失礼致します。






 

author:古美術 希, category:古美術品/入荷のお知らせ, 15:47
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